うみそらひとことば

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学校の先生にでもなって

 

 今夜も、竹内浩三さんを貼り付けてみます。どうぞ、よろしくお願いします。

 

 秋の夜長に火を起こして、足をあぶりながら、小説本をスタンドのあかりにかざしてのんびり読んでいて、「キンシ」というタバコをふかしたり、熱いお茶をすすったりすると、偉い人なんかになりたくない気がし、いいヨメさんでももらって、学校の先生にでもなって、ときどき音楽を聞いたり、活動(映画のことなんですよ!)を見たり、旅行をしたりして、静かに死んでいきたいような気がします。


 そんな気分の時もありますか。学校の先生でも、偉い人はいるんですけど、ほとんどの学校の先生は、偉くなくて、こき使われていて、給料も少ないし、今ではあわれむべき存在ですけど、昔もそんなものだったのかなあ。

 

 人と争ってみたり、虚勢を張ってみたり、ウソをついてみたり(それでも、心の中で半泣きになって)、偉い人に偉い人にと、アクセクする(必死になる)のは、つらいことだと考えたりします。

 

 のんびりアグラをかいていたい、と考えたりします。ある女の子にそのことを言ったら、アグラをかききれる人間になれたらいいが、むつかしいでしょうと言いました。まったく、むつかしい。不可能に近い。

 

 おしゃべりする女の子がいたんだねえ。そういう話ができる女の子って、どんな子だったんだろう。ちゃんと話を聞いてくれたりしたんだね。何だか、人のことだけど、私はうれしいんだけどなあ。

 

 若いもんだから、やっぱり偉くなりたい気は捨てられない。だから、心は平和でない。こんなやっかいな気持ちを捨てきれる人間になって、本当にのんびりしたいものです。……1941.10.28

 

 80年くらい前の人だって、のんびり生きていきたいと思い、偉くならなくてもいいから、好きな子と結婚して、アグラかいていきたい、なんていう夢を描いていた。

 

 私たちは、のんびり暮らしたいという希望を持っていると思います。でも、どれだけそれが実現できるのか、私には自信がありません。