竹内浩三さんの「金がきたら」を書き込んでみます!
金がきたら
金がきたら
ゲタを買おう
そう人のゲタばかり かりてはいられまい
金がきたら
花ビンを買おう
部屋のソウジもして 気持よくしよう
金がきたら
ヤカンを買おう
いくらお茶があっても 水茶はこまる
金がきたら
バスを買おう
すこし高いが 買わぬわけにもいくまい
金がきたら
レコード入れを買おう
いつ踏んで わってしまうかわからない
金がきたら
金がきたら
ボクは借金をはらわねばならない
すると 又 なにもかもなくなる
そしたら又借金をしよう
そして 本や 映画や うどんや スシや バットに使おう
金は天下のまわりもんじゃ
本がふえたから もう一つ本箱を買おうか
お金のない生活を送っていたんですね。質屋さんに自分の衣服を持って行って、それでお金を借りていたらしい。浩三さんは、バイトなんかしていないのでしょうね。本を読み、大学の勉強をしていた。
ゲタ(はきもの、学生の必須アイテムの靴みたいなものですね)も、ヤカンも、花びんも持っていなかったみたいです。東京での下宿暮らしは、お金さえあれば、何とかなったんでしょう。
バスを買おうなんて、それはギャグのつもりでしょうか。自転車はなかったんですね。高円寺から神田あたりまで、中央線は走ってなかったんでしょうか。バスで行き帰りしていたのか。
レコードも買い、本も次から次と買い、部屋は散らかりまくっていた。掃除しなきゃとは思うものの、それもできていなかった。
金ができたとしても、人間は、そんなに劇的に生活を変えることなんてできません。いつもと同じのだらしない生活です。お金がすべてを解決するわけではないのです。
それよりも、単純なところから、毎日掃除するとか、整理整頓するとか、本をすべて本箱に入れるとか、要らない本は売ってしまうとか、やれたら、もう少し片づくと思うんだけど、それも簡単にはできなくて、ついつい、今の生活を変えるのは、実家からのお金なのだ、なんて理屈をつけてしまう。
そうじゃない! というのは、私は知っています。でも、若い人には、それがわかりません。仕方なく私も、お金は要らないけど、自分はもう少し違う生活を送りたいな、なんて思ってしまうんです。