うみそらひとことば

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ニャンコちゃんより 1979

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★  はるばる来たぜ青森から               ニャンコちゃん
 

 あと何ヶ月かで私も卒業です。
 ○○にあこがれて、はるばる来たぜ青森――、その青森の三沢から……(八戸とか、七戸とか、六戸とか、それらのへ町とはちがい)みさわ市からやってきたのです。雪の舞い落ちるホームをあとに、ポカポカの○○に集団就職で来たのでした。
 

 私は十六歳、まだまだめごいあらすっ子(かわゆい女の子)だったのです。だから、仕事と学校の往復も、恋も知らず(?!)にただひたすらに続けていたのはいうまでもないでしょ。けれどやがて、女だけの寮のいやさ、仕事のつらさをがまんできなくなっていったのでした。
 でも、ガマン、ガマン、ぐっとこらえたのは、学校があったからです。何度も全てを捨てて家に帰ろうと思ったことでしょう。けれど、学校を卒業するまであと少しだからと二年間がまんしたのです。がまんしたつもりだったのですが、がまんの限度を越えてしまって、私は退社したのです。

 

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 今は失業中、職なし人間なんです。
 

 けれど私は、退社したことを悔やんでいないで、むしろよろこんでいるのです。それは、失業してから、いろいろな人の心がしみじみとわかってきたのです。失業というのは、一生懸命働いている人には敵のように見えるのか、「失業中です」というと、心のわかりあえる人以外は、「ぜいたくに遊んで暮らすなんて」という目で見るのです。だから私は失業していろんな人の心がわかってきたのです。
 

 それともう一つ、経済の面です。会社にいたころは手もとにもらったお金は全て使ってもいいもんだと思い込み、それでもお金が足りなくなり、預金をおろすこともあったのです。けれど失業してからは、お金をためることによろこびをおぼえ、無駄づかいはしなくなっていきました。
 

 こういうような二点から、私は退社したことは自分にプラスになる面が多かったと思っています。マイナス面の面があったら知らせてくださいませ。私はあほですので、自分が気がつかない時は、助けてくださいませませ。
 んだば、みんな元気でな、わだっきゃ、もう卒業すんだ? みんなも自分の道をみづけろやなー。

 

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★ 今日、片付けしていて、1979年の3月に19歳で卒業した定時制高校の生徒さんの文章を見つけました。

 

 なんと、私と同級生でしたか。今はどこにいるんだろう。青森に帰ったかな。それとも、どこか違うところで生活しているんでしょうか。何だか気になります。お仕事見つかったのかなあ。

 

 人生って、どうなっているんだろう。まあ、あまり考えないで、ボチボチ生きていけばいいのかなあ。よくわからないです。