★ みんなのふるさと
誰かが「まあ、雨が」と言ったら、
となりの人はげらげら笑った。
そして、そのとなりの人は「ゴホン」と咳払いをした。
そのまたとなりの人はためいきをついた。
向かいの人が「うるさいなあ」と言ったら、
その前の人は「すみません」と謝った。
おかげでみんな泣き出した。
そしたら今度は「泣くな」と言った。
そしたら、みんなは笑い出した。
ここは病院。
立派な病院。
鉄格子とマットの室、
白い建物赤十字、
あたしのふるさと、あなたのふるさと、
そのうちみんなの、みんなのふるさと。
★ 40何年ぶりにこの詩を読ませてもらいました。
不思議な感覚です。どうして、中の人たちはすぐにションボリするし、
言葉をなくすんだろう?
なぜ、こんなにみんなビクビクしているんだろう。
ここは病院ということだけど、みんなここに帰っていくということなの?
どういうイメージなんだろう。そんなに破滅的な風景なんだろうか。
わからなくなるのです。